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物流施設の賃貸マーケットに関する調査(2025年1月時点)

【東京圏】
空室率:9.0% (前期比 プラス 0.4 ポイント)
募集賃料:4,700 円/坪 (前期比 マイナス 1.7%)
[概況] 東京圏では空室率の上昇が止まらず、募集賃料も 3 四半期連続での下落となった。

【関西圏】
空室率:3.6% (前期比 横ばい)
募集賃料:4,230 円/坪 (前期比 プラス 1.7%)
[概況]  関西圏では安定した需給動向を背景に、募集賃料は緩やかに上向いている。

【中京圏】
空室率:11.0% (前期比 マイナス 0.6 ポイント)
募集賃料:3,160 円/坪 (前期比 マイナス 1.3%)
[概況] 中京圏では 2025 年の新規供給が過去最大級で、当面、空室率は高止まりする見通しである。

【九州圏】
空室率:3.2% (前期比 マイナス 0.3 ポイント)
募集賃料:3,300 円/坪 (前期比 プラス 0.6%)
[概況] 九州圏の空室率は低く賃貸市況は良好で、安定した賃料動向が続いている。

【不動産価格の見通し】

・半年後の不動産価格の見通しは「横ばい」が61.3%、「上昇」が27.3%、「下落」が11.4%となった。「上昇」と「下落」の回答構成比がそれぞれ増加したが、「横ばい」が主流で大勢に大きな変化はみられない。

【賃料水準の見通し】

・半年後の賃料水準の見通しは「横ばい」が55.7%、「上昇」が35.2%、「下落」が9.1%となった。「上昇」の回答構成比は2023 年1 月から3 回連続で増加していたが、本調査で減少に転じた。

【東京圏】

・今期(24年10月)の空室率は8.6%で、前期の8.4%から0.2ポイントの上昇となった。東京圏では2021年1月の0.3%を底に、4年近くにわたり空室率が上昇しているが、そのスピードは徐々に鈍化している。
・東京圏の募集賃料は4,780円/坪で、前期の4,820円/坪から僅かな下落となった。緩和基調の需給バランスが継続し、東京圏全体の募集賃料は弱含みである。

【関西圏】

・今期(24年10月)の関西圏の空室率は3.6%で、前期の3.1%から0.5ポイントの上昇となった。今期(24年8月~10月)の新規供給は12.1万㎡と低水準であったが、新規需要も6.2万㎡に留まり、需給両面で動きが乏しかった。
・関西圏の募集賃料は4,230円/坪で、前期の4,180円/坪から上昇となった。均衡した需給バランスが継続し、募集賃料にも目立った動きはなく、落ち着いた推移である。

【東京圏】

・今期(24年7月)の空室率は7.7%で、前期の7.4%から0.3ポイントの上昇となった。今期(24年5月~7月)の新規供給は41.7万㎡と低水準となったが、新規需要はさらに低い27.4万㎡で、この5年間で最も低く、需給緩和が一段と進んだ。
・東京圏の募集賃料は4,820円/坪で、前期の4,860円/坪から僅かな下落となった。需給バランスは引き続き緩和傾向で、東京圏全体の募集賃料は弱含みである。

【関西圏】

・今期(24年7月)の関西圏の空室率は2.7%で、前期の2.9%から0.2ポイントの低下となった。今期(24年5月~7月)の新規需要は35.2万㎡で、新規供給の34.6万㎡をわずかに上回り、底堅いニーズを背景に、安定した賃貸市況となっている。
・関西圏の募集賃料は4,180円/坪で、前期の4,210円/坪から僅かな下落となった。均衡した需給バランスを背景に、募集賃料に目立った動きがなく、落ち着いた推移である。

【不動産価格の見通し】

・半年後の不動産価格の見通しは「横ばい」が70.3%、「上昇」が23.3%、「下落」が7.4%となった。「上昇」と「下落」の回答構成比がそれぞれ減少する一方、「横ばい」が7割超まで増加している。

【賃料水準の見通し】

・半年後の賃料水準の見通しは「横ばい」が55.3%、「上昇」が41.5%、「下落」が3.2%となった。「上昇」の回答構成比は2023年1月から3回連続で上昇している。

【東京圏】

・今期(24年4月)の空室率は7.4%で、前期の7.1%から0.3ポイントの上昇となった。今期(24年2月~4月)は調査開始以来で最も多い23物件が新たに竣工したが、新規供給は今期がピークで、今後は空室率の上昇スピードが鈍化していくことが期待できる。
・東京圏の募集賃料は4,860円/坪で、前期の4,620円/坪から240円/坪(プラス5.2%)の大幅な上昇となった。東京都内や埼玉県南部など賃料水準が高い地域での募集物件が増えており、建築費の高騰に伴う賃料上昇圧力もあって、3四半期連続での募集賃料の上昇に繋がった。

【関西圏】

・今期(24年4月)の関西圏の空室率は2.9%で、前期の3.0%から0.1ポイントの低下となった。底堅いニーズを背景に良好な賃貸市況が続いている。
・関西圏の募集賃料は4,210円/坪で、前期の4,240円/坪から概ね横ばいである。均衡した需給バランスを背景に、募集賃料の動向でも目立った動きはなく、落ち着いた推移である。

【東京圏】

・今期(24年1月)の空室率は7.1%で、前期の6.4%から0.7ポイントの上昇となった。今期(23年11月~24年1月)の新規供給は59.2万㎡と低水準であったが、新規需要はこの5年間で最も低い34.3万㎡に留まり、需給緩和に歯止めがかかっていない。
・東京圏の募集賃料は4,620円/坪で、前期の4,600円/坪から20円/坪(プラス0.4%)の僅かな上昇となった。需給緩和による賃料下落圧力と建築費の上昇に伴う賃料上昇圧力が拮抗しており、募集賃料は概ね横ばいである。

【関西圏】

・今期(24年1月)の関西圏の空室率は3.0%で、前期の3.7%から0.7ポイントの下落となった。今期(23年11月~24年1月)の新規需要は41.4万㎡となり、調査開始以来で過去3番目に高い水準で、堅調なニーズを背景に賃貸市況は良好である。
・関西圏の募集賃料は4,240円/坪で、前期の4,230円/坪からほぼ横ばいである。良好な賃貸市況を背景に落ち着いた賃料動向で、目立った変化はみられない。

【不動産価格の見通し】
半年後の不動産価格の見通しは「横ばい」が62.0%、「上昇」が26.0%、「下落」が12.0%となった。「下落」の回答者は少数派だが、その回答構成比は前回調査の6.5%から12.0%へ大幅に増加した。金融が正常化にむかう過程で、金利上昇への懸念が不動産価格の下落圧力に繋がるとの意見が増えている。

【賃料水準の見通し】
半年後の賃料水準の見通しは「横ばい」が53.0%、「上昇」が38.0%、「下落」が9.0%となった。「上昇」の回答構成比は、1年前の26.5%から2回連続で上昇し、コストプッシュ型のインフレが賃料水準の見通しにも影響するという意見が多い。

【東京圏】

・今期(23年10月)の空室率は6.4%で、前期の6.1%から0.3ポイントの上昇となった。今期(23年8月~10月)の新規供給は52.0万㎡と落ち着いた水準であったが、新規需要も40.5万㎡にとどまったため、需給緩和がさらに進んだ。
・東京圏の募集賃料は4,600円/坪で、前期の4,520円/坪から80円/坪(プラス1.8%)の上昇となった。東京圏の募集賃料は4,500~4,600円/坪のレンジで一進一退である。

【関西圏】

・今期(23年10月)の関西圏の空室率は3.7%で、前期の2.6%から1.1ポイントの上昇となった。今期(23年8月~10月)の新規供給が20.9万㎡に対し、新規需要は9.4万㎡に留まったため、空室率は再び上昇に転じた。
・関西圏の募集賃料は4,230円/坪で、前期の4,180円/坪から50円/坪(プラス1.2%)の上昇となった。建築コストの上昇を受け、募集賃料の設定でさらなる上昇を狙う動きがあるが、需給バランスが緩和局面に向かうなかで、リーシングで苦戦する物件が増加する懸念がある。

・バブル崩壊後の物流効率化は、企業側に有利な労働市場を活かし、物流の外部化を通じた人件費の抑制によってもたらされた面がある。この効率化は人手不足が本格化する令和の時代には機能しづらい。

・2024年問題における最大のポイントは、この問題が荷主企業の経営陣を含む幅広い層に共有された点にある。平成時代のトレンドであった物流の外部化による効率化は局所最適に陥りやすかった。2024年問題をきっかけに問題意識が共有されている今だからこそ、経営陣を含む他部門を巻き込んで、抜本的な物流見直しに着手しやすい環境が整っている。

・物流戦略の実行でネックとなるのが不動産である。冷凍・冷蔵品や危険品など特殊貨物を含めた物流の最適化を進めるためにも、不動産市場の機能を生かした物流戦略を構築し実行していくことが肝要である。

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